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産業用ロボットの種類とは?用途や導入するメリットを解説

「人材不足に対応したい」「生産性をアップしたい」このような希望を持って産業用ロボットの導入を検討している事業主は少なくないでしょう。

しかしながら、どのような産業用ロボットがあり、どのような特徴があるのか知らずに迷っている事業主もいるかもれません。

産業用ロボットは大きく分けて4種類あり、それぞれ用途や得意な作業があります。この記事では、産業用ロボットの種類や特徴をご紹介します。

産業用ロボットを導入するメリットについてもまとめましたので、産業用ロボット導入の検討にぜひご活用ください。

産業用ロボットの定義

産業用ロボットの定義

産業用ロボットとは、主に製造業や食品事業などの産業の自動化や効率化で用いられるロボットのことです。日本産業規格(JIS)では次のように定義されています。

自動制御され、再プログラム可能で多目的なマニピュレータであり、3軸以上でプログラム可能で1か所に固定して又は移動機能をもって、産業自動化の用途に用いられるロボット。


日本産業標準調査会│JIS規格詳細画面 JIS B 0134

産業用ロボットは、次の3つで構成されています。

・マニピュレーター

・制御ボックス

・ティーチングペンダント

マニピュレーターとは、実際に作業をおこなう産業用ロボットのアーム部分のことです。産業用ロボットのアームは、可動域を決める関節(稼働軸)と用途によって取り外し可能なハンドピースで構成されます。

産業用ロボットは、用途によってアームの関節の数が異なり、関節の数が増えると汎用性が高まるのが特徴です。ティーチングペンダントとは、産業用プログラムの操作・調整に用いられる機械を指します。

産業用ロボットの種類

産業用ロボットの種類

産業用ロボットの種類は、形状や用途、メーカーによってさまざまな種類がありますが、代表的なのが以下の4つです。

・垂直多関節ロボット

・スカラロボット(水平多関節ロボット)

・パラレルリンクロボット

・直交ロボット

ここからは、産業用ロボットの種類と特徴をご紹介します。

垂直多関節ロボット

垂直多関節ロボットは、人の腕のような構造をしており、複雑な動きが可能なロボットです。一般的には4軸~6軸で構成されていますが、より複雑な動きを再現するため、7軸以上の軸をもつロボットもあります。

人間の手と同じような動きを実現できるのが特徴で、組立・検査・搬送などさまざまな用途で使用できます。ただ、軸の数が多いため、制御が難しいのがデメリットです。

スカラロボット(水平多関節ロボット)

スカラロボット(水平多関節ロボット)は、4軸で構成されているロボットです。水平方向に対して柔軟に可動することができ、物を高速で移動させたり、押し込んだりする作業ができます。

製造現場では、ある工程から次の工程へ部品を運んだりするようなときに用いられます。軸の数が4つなため制御が簡単で、ロボット本体の強度も高いのが特徴です。ただ垂直多関節ロボットのような複雑な動きはできません。

パラレルリンクロボット

パラレルリンクロボットとは、すべてのアームを並列に動かし、アームの先端の動きを制御して作業をおこなうロボットです。複数のモーターの出力を1点集中させることができるので、材料の選別・整列や製品のピッキングなどの現場で用いられます。

多関節ロボットでは難しいプレス加工にも対応できるのも特徴の1つです。ただ作業範囲が狭く、一般的なパラレルリンクロボットは最大10キログラム程度のものしか運搬できません。

直交ロボット

直交ロボットとは、直交する2~3軸のスライド軸を組み合わせたシンプルな構造の産業用ロボットです。構造がシンプルなので設計度の自由が高いのが特徴です。直線的な移動のみなので、作業が限定されます。そのため、他の産業用ロボットと組み合わせて使用されるケースが増えています。

産業用ロボットの用途

産業用ロボットの用途

産業用ロボットの種類がわかったところで、実際の現場ではどのような用途で使用されているのでしょうか。ここでは、産業用ロボットの主な用途を5つご紹介します。

溶接

産業用ロボットは金属同士を結合させる溶接作業の現場で使用されます。溶接作業は製造現場の中でも、人体に害を及ぼすリスクが高いからです。そのためアーク放電による熱を利用したアーク溶接の作業には、安全特別教育の受講が義務化されています。

《アーク溶接作業のリスク》

・紫外線や可視光線の発生で目に損傷を及ぼす

・溶接による熱で火傷や熱中症になる

・雨天時の屋外での溶接で感電する

・溶接時の騒音で耳鳴り

・溶接時のヒュームで呼吸器に害を及ぼす

過酷な溶接作業を人ではなく産業用ロボットに置き換えると、従業員が安全に作業でき品質の安定やコスト削減も見込めるため魅力的です。

組み立て

産業用ロボットは組立作業の現場で使用されます。人の手で組立作業をすると、作業員によって品質に差がでてしまったり、人的ミスによって製品を使用した人に被害が出たりする可能性があるからです。

産業用ロボットによる組立作業は、工場設備など大型のものから、電子機器のような小型なものまで対応できます。産業用ロボットに置き換えられる組立作業は次の通りです。

・部品を取り出す

・作業の位置に設置する

・決められた場所のネジを締める

・コネクタを挿入する

組立作業を産業用ロボットに置き換える場合、1台ですべての工程をおこなうのは難しいため、複数の産業用ロボットを分業させます。

搬送

産業用ロボットは、搬送作業の現場で使用されます。製造現場で組立に必要な部品や完成品は、製品によっては重量があり人の手で搬送すると落として不良品になってしまったり、作業員が怪我をしたりするからです。

また食品製造の現場では、製造途中の品を人の手で搬送すると、食中毒や異物混入が発生してしまう可能性があります。産業用ロボットを使用すれば、人の手を介さないのでこれらの事故リスクを低減させられるでしょう。

塗装

産業用ロボットは製品に色付けをする塗装作業の現場で使用されます。塗装作業に使われる有機溶剤は使用方法を誤ると、人体に害を及ぼす可能性があるからです。

《塗装作業による健康リスク》

・溶剤の蒸気を吸引して肺や呼吸器に炎症が生じる

・飛散した塗料が目に入って負傷する

・脱脂酸洗作業時に高温の液薬が皮膚に付着し火傷する

・塗装缶の開封時に缶の縁で裂傷する

塗装作業を人ではなく産業用ロボットに置き換えると、従業員の健康被害が低減させられるほか、ムラなく均一に塗装できるため製品の品質が安定するでしょう。

検査

産業用ロボットは、製品の最終確認である検査の現場でも使用されます。検査作業で使用される産業用ロボットには、画像検査装置が搭載されており、人の目では見逃してしまいがちな細かい傷や異物を感知することができるからです。

もちろん熟練工の厳しいチェックがあれば、機械に頼らずとも検品できます。しかし、どんなに体力のある熟練工でも長い間、神経を使いながら検品作業を続けると疲れが出て思わぬ見落としが出てくるかもしれません。

ロボットに検品作業を任せれば、長時間検品作業を継続できます。その分、熟練工には自動化が難しい別の作業を任せれば、作業の効率アップにつながるでしょう。

産業用ロボットを導入するメリット

産業用ロボットを導入するメリット

産業用ロボットは製造業においてさまざまな用途があることがわかりました。ここからは、産業用ロボットを導入するメリットを見ていきましょう。

人材不足の解消

産業用ロボットは人材不足の解消につながります。製造現場によっては、従業員が過酷な環境下で作業をしなければならず、人材確保が困難な事業所も少なくありません。

産業用ロボットに危険な作業や過酷な作業を任せれば、作業に必要な人員を削減することができ、人材不足が解消されるでしょう。産業用ロボットの初期費用は高額ですが、採用コストや人件費がかからないので、長期的にはコスト面のメリットも大きくなります。

生産性・効率アップ

産業用ロボットを導入すると、生産性や効率アップが期待できます。溶接や塗装などの作業は、従業員に経験や技術があっても時間がかかってしまうこともあるからです。

産業用ロボットを導入し作業を自動化すれば、人よりも早く作業ができるので生産性スピードが向上し、同じ時間でも大量の製品を生産することができます。また、人は労働基準法や従業員の技術・体力により働く時間が限られますが、産業用ロボットは24時間稼働することが可能です。

品質の維持・安定化

産業用ロボットを導入すると、品質の維持・安定化が期待できます。人の場合、同じ作業をしていても熟練者と初心者では品質にバラつきがでてしまうからです。

たとえ同じ人が繰り返し作業していたとしても、その日の体調や精神状態によって若干のばらつきが生じることもあります。産業用ロボットは決められた動作を繰り返すので、同じクオリティの製品を安定して製造できます。

ICS SAKABEは九州・福岡で産業用ロボットの教示の特別教育を開催中

ICS SAKABEは九州・福岡で産業用ロボットの教示の特別教育を開催中

産業用ロボットを導入すると、従業員の代わりに危険な作業を任せたり、生産性アップや効率化ができたりするため、導入数は年々増加しています。しかしながら、産業用ロボットの操作や検査を誤ると怪我や死亡事故の原因となるため使用には注意が必要です。

産業用ロボットは、労働安全衛生法で定められた特別教育を受講した人でないと操作・メンテナンスができません。産業用ロボットの導入を決めたら、事業主は従業員に受講するよう促し、講座を申し込みましょう。

ICS SAKABEは九州・福岡で産業用ロボットの特別教育を実施しています。産業用ロボット特別教育用の施設があり、講座のスケジュールも豊富なので、都合のよい時期に申し込むことが可能です。

コース名内容日程時間費用
教示コース産業用ロボットの基礎知識・教示に関する知識など2日間9:00~16:3037,400円(税込)
教示+検査コース産業用ロボットの教示・検査作業に関する知識など2日間8:30~19:0042,900円(税込)

産業用ロボットメーカーの特別教育よりも安い金額で開講されているので、従業員の受講費用を抑えたい九州の事業主は、こちらから問い合わせしてみてください。

産業用ロボットに関するQ&A

産業用ロボットに関するQ&A

産業用ロボットに関するよくある質問とその回答をご紹介します。

産業用ロボットとサービスロボットの違いとは?

製造現場では、業界によって産業用ロボットだけでなく、サービスロボットも導入されています。それぞれの違いは次の通りです。

種類特徴
産業用ロボット製造現場などで人の作業を代替するロボット
サービスロボット人がおこなう作業や動作を支援・補助するロボット

レスキューロボットやパワーアシスト、手術支援ロボットなどは、サービスロボットに含まれます。

産業用ロボットの活動分野は?

産業用ロボットは、人材不足解消や従業員を危険な作業から開放するツールの1つとして多くの業界で導入されています。2013年に国際ロボット連盟が公表したデータによると、次の業界で産業用ロボットが活躍しています。

・自動車業界

・電機電子業界

・化学・非金属業界

・機械・金属業界

・食品業界

これら業界で産業用ロボットは、あらゆる作業を自動化するサポートをしており、今後も多くの企業で導入が増えることが予想されています。

まとめ

まとめ

産業用ロボットは4種類にわけられます。産業ロボットの導入を検討する際には、それぞれのロボットの特徴や得意な作業を確認してから選択するのがおすすめです。

また、産業用ロボットの製造の利用率は年々増加しており、今やさまざまな業界で活用しています。産業用ロボットを導入することで、人材不足の解消や生産性アップが期待できるので、事業主は業績アップの施策の1つとして、産業用ロボットの導入を検討してもよいかもしれません。

ただ産業用ロボットの操作・メンテンナンスをするには、労働安全基準法で定められた講習を受講する必要があります。産業用ロボットの導入と同時並行で、従業員の特別教育の受講準備をしておきましょう。

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